2005年4月11日

10年前にアフリカのルワンダで約100万人が虐殺されるという事件がありましたが、この問題をテーマにした映画「ホテル・ルワンダ」は、最近見た映画の中でも最も強い衝撃を与える作品でした。特にジャーナリストや国連関係者にとっては、必見の映画でしょう。

「絶対に国連が介入して助けてくれる」という人々の期待が無残にも裏切られるシーンは、国際政治の冷徹さ、国連の偽善を象徴的に表わしています。しかも、この悲劇はボスニアで国連が介入しなかったために、多くの民間人が虐殺されつつあった時期とほぼ重なります。ボスニアはヨーロッパの一部であるために、最終局面でアメリカに率いられたNATO・北大西洋条約機構がセルビア系武装勢力を攻撃しましたが、アフリカの一国であるルワンダには、アメリカやNATOは全く介入しませんでした。

アメリカやヨーロッパ諸国が、ルワンダの惨劇をジェノサイドと呼ぶべきかどうかについて議論している間に、何十万人の人々が首をナタで切られて絶命していったのです。

国連やアメリカは絶対に認めませんが、彼らは世界のあらゆる人権侵害を止めるために、軍事介入することはできず、政治的、経済的利害を勘案して、介入したり、しなかったりするのです。その意味では残念ながら「人間は平等ではなく、その命には住む地域によって、軽重の区別がある」というのが、国際政治の厳しい掟であることを、我々は忘れるべきではないでしょう。私は今後も、ルワンダのような悲劇が世界のどこかで繰り返されると思っています。